Demosaicingはデジカメの現像?
Demosaicing(デモザイシング)と聞いて内容が分かる方は稀だと思いますが、デジカメの画像処理の話です。カメラ内部のセンサーで捉えた画像は、下図に示すようにRGB(赤緑青)のチェック柄になっています。カラー画像にするためには、チェック柄の構成要素である画素1つ1つにRGBすべての輝度値(明るさ)を与える必要があります。例えば、Gの位置では、RとBの輝度値を計算して埋めます。この処理を、Demosaicing(別名CFA補間)と呼び、デジカメ現像(プリントではなくRAW現像のこと)の主要部分です。
拙著論文をご参照ください。
この方式を用いてエッジが斜め方向のときにGの値を計算する例を下図に示します。左上から右下に伸びるエッジに対して、中央のG画素を計算するのに、連続している左と下の近傍を参照しているのが分かります。
では、従来手法と比較してみましょう。下図は、原画像と5つの方式(線形補間、文献1、文献2、文献3、提案手法)による処理画像です。下部のフェンスを見ると、文献2と提案手法以外は、横方向に偽エッジが発生しています。また、文献2の手法では、左上の屋根部に縦方向の偽エッジが発生しています。
[1] D. Menon, et al., “Demosaicing with directional filtering and a posteriori decision,” IEEE Trans. Image Processing, Vol. 16, No. 1, pp. 132-141, Jan. 2007.
[2] K. L. Chung, et al., “Demosaicing of color filter array captured images using gradient edge detection masks and adaptive heterogeneity-projection,” IEEE Trans. Image Processing, Vol. 17, No. 12, pp. 2356-2367, Dec. 2008.
[3] C.-Y. Su, et al., “Effective demosaicing using subband correlation,” IEEE Trans. Consumer Electronics, Vol. 55, No. 1, pp. 199-204, Feb. 2009.
次に、原画像と処理画像の輝度値の差を24枚のテスト画像を使って比較してみたところ、全体的に提案手法がよい数値を示していました。また、所要計算量も比較してみました。線形補間が一番軽く、これを基準にすると提案手法が3倍、その他の従来手法は8倍以上です。
この分野の研究は日進月歩ですから、さらに良い方法が開発されてくると思います。そのときに提案手法が踏み台になれば嬉しい限りです。
具体的には、周囲の似通った値を持つ画素から抜けている色の輝度値を推定します。現在主流となっているのは、エッジ(つまり、輝度値の不連続)の方向を判定して、輝度値が連続している方向に補間処理を行う方式です。下図は、G平面の中央の位置のGの値を、G平面とR平面上の近傍の値から求める処理例です。この方式は、エッジが縦や横に伸びている場合は精度良く推定できるのですが、エッジが斜め方向のときに精度が落ちるという問題点があります。
この斜めエッジ問題を解決する方法を模索した結果、下図のような高周波マップを用いてより柔軟にエッジ方向を判定する方式を開発しました。ある画素におけるRGBそれぞれの値は関連性は低いが、その近傍での変化の具合(つまり高周波成分)にはRGB間で高い相関があることに着目した方式です。詳細については、